※咲-Saki- 本編3年後の二次創作SSです
※大学に進学した面々がガヤガヤするやつです
※登場人物など詳細についてはアバウトをどうぞ

montblanc580a


真佑子「お疲れ様でーす」ガラッ

菫「ん、お疲れ様、早いな多治比」

真佑子「既にいる方に言われるセリフではない気がしますけど……」

智葉「ゲラの段階で校閲さんに指摘されるヤツだな」

菫「おまえは何を言っているんだ」


真佑子「他の皆さんは来られていないんですか?」

菫「さぁ、たぶん来ないんじゃないか? そもそも練習日じゃないし、鍵が開いてるとは知らんだろ」

真佑子「私も先ほど鍵を借りようとしたら、弘世先輩が持っていったと聞いたので直接来たんです」

智葉「こいつが忘れ物などしなければ良かったんだがな」

菫「忘れ物じゃないと何度も言っただろ……昨日は荷物が多かったから置いて行っただけだ」

智葉「昨日荷物が多かった理由はなんだったかな?」

菫「研究室に置いていた荷物をまとめて回収したから、です……」グヌヌ

真佑子(敬語!?)


真佑子「……まぁでも、いらっしゃったのがお二人だけで良かったです、宜しければおすそ分けを」

智葉「これは……モンブランケーキ?」

菫「行列が出来るあの店の限定モンブランじゃないか!」

智葉「すまないな、並んで買ってきてくれたのか?」

真佑子「冷蔵庫に入れようと持ってきたんですが、三つしか買えなくて……皆さんには内緒でどうぞ」

菫「おお、おおお……」

智葉「理性を保て」


智葉「しかし、良かったのか? 私達だけ貰ってしまって」

真佑子「この間の練習試合で大活躍だったじゃないですか、そういうことにしておいて下さい」

菫「はは、ありがとう、じゃあ遠慮なく頂くとするか」

智葉「お茶を淹れてくる……紅茶か、コーヒーがいいよな?」

菫「この間亦野が買ってきたダージリンがあっただろ」

智葉「……砂糖は今回必要ないかもしれないが、これって確か」

菫「……南浦が持ってきたいい角砂糖だな」

智葉「もしかして後輩に甘え過ぎてるか、私達」

菫「後輩が気を利かせすぎてるだけだから(震え声)」

真佑子「いや、その、好きで買ってきただけですし、あまり気になさらなくても」


菫「では、いただきます」

智葉「いただきます」

真佑子「はい、どうぞ、私もいただきます」

菫「……ん、おいしい」

智葉「口当たりは非常になめらか、栗の上品な甘さを固めのブランデースポンジが引き立てて、とても美味いな」

真佑子「なぜいきなりグルメリポートが」

智葉「料亭の娘だししっかりグルメアピールしておこうと思ってな」

菫「料亭って洋菓子も出すのか?」

智葉「いや、まったく関係ないが」

菫「」


真佑子「弘世先輩はこのお店のことをご存じだったんですよね?」

菫「あ、ああ、割と昔から有名店だから」

智葉「お嬢様がケーキの買い食いとかしてたのか?」

菫「私じゃなくて母がこの店を好きでな、王道のケーキで勝負してるのが良いみたいでよく買ってきてくれたんだ」

真佑子「確かに、奇をてらわないというか……材料と腕に自信があるんでしょうね」

菫「しかし母でもこのモンブランはなかなか手に入れられなかったらしくてな……今日初めて食べられたよ」

真佑子「100個限定ですからね、すぐ無くなっちゃうんですよ」

智葉「限定販売か、お前さんよく買えたな」

真佑子「開店1時間前から並びましたからね、大学生の時間の使い方を舐めてもらっては困ります」

智葉「そこあまり威張れないポイントだと思うぞ」


智葉「うん、ご馳走さん、美味しかった」

菫「ごちそうさま、食器渡してくれ」

真佑子「すみません、洗い物まで」

菫「ご相伴にあずかったわけだし、このくらいはな」

誠子「あれ? 皆さんなんで居るんですか?」ガラッ

菫「お、亦野か、残念だったな、今ちょうど食べ終わったところだ」

誠子「食べ終わったって、三人で何か美味しいもの食べてたってことですか! ずるい!」

真佑子「ごめんね、私が全員分買ってこれれば良かったんだけど」

誠子「先輩ばっかりイイ思いして!  く、口惜(くちお)しい……」

菫「捨てられた古女房かお前は」

智葉「……まぁ、貰ってばかりなのも悪いしな、私も今度何か美味しいものでも持ってくるよ」

誠子「さっすが~、辻垣内先輩は話がわかるッ!」

菫「おい! なんか私だけケチみたいな言い方じゃないか! 私だって先輩らしく色々奢らせろ!」

誠子「凄ェ!  流石弘世先輩ァ!」

真佑子「なんか意地の張り合いみたいになってますけど、あの、本当に気にしないで大丈夫ですよ!?」