花子「お、本当だユキりんじゃん、うーい」
由暉子「花子先輩、恵さん、お疲れ様です」
恵「今日は部活来れるんかい?」
由暉子「はい、今日は最後まで部室に居られます」
花子「最近あんまり来てないから、チカりんが忙しいのかって心配してたよん」
由暉子「……ご心配をおかけして申し訳ないです」
恵「いや真屋さんが凄く頑張ってるのは皆テレビで知ってるしねェ…… 悪いことしてるわけじゃないんだから」
花子「チカりんが騒いでるのは単に親バカなだけだと思うけどね~」
恵「親じゃないです」
由暉子「? 誓子先輩は私の親だったのですか?」
恵「親じゃないです」
由暉子「ふふ、高校の時からずっと、過保護にしてもらっちゃってるんです」
恵「過保護とか言ってる割にうれしそうに見える」
由暉子「過保護うれしいですよ?」
花子「……需要と供給成り立ってるじゃん」
恵「はぁ…… なんというか、真屋さんって後輩オーラが凄いよなァ」
由暉子「後輩オーラ……ですか?」
花子「あーそれは何となくわかる、なんというか、守ってあげたくなるっていうか」
由暉子「……そうなんでしょうか?」
恵「うん、なんというか庇護欲をかきたてられる」
花子「今『お前は俺のカキタレになるのだ』って言った?」
恵「どういう耳してんだっていうか色々最低ですねあんた!?」
由暉子(かき……柿の種? ですか?)
由暉子「わさびもいいですが、私は梅味が好きですね」
恵「こっちはこっちで何の話してんの!?」
恵「アイドルって色々地方にロケとかしたり?」
由暉子「たまーにグラビアを撮影に行ったりはします」
花子「ふぇー、そこだけ聞くと羨ましい限りっすわ」
恵「どこでやってんの? やっぱり沖縄とか、グアムとか?」
由暉子「………………………………九十九里です」
恵「…………えっ?」
由暉子「牌のおねえさんくらい有名ならともかく、私はプロ雀士でもないので……」
花子「……アイドル業界も大変なんだねぇ」
恵「えっ……えっ? もう十月も終わろうとしてるんだけど?」
由暉子「うふふ、わぁい九十九里、ゆきこ九十九里大好き」
恵「真屋さん!? 気をしっかり保って! 虚空を見つめんな!」
由暉子「とりあえずそういう場合は、雪景色の中で水着を着せられるよりはマシと思ってやっています」
恵「命の危険がありそうな絵面と比べてマシと言われても」
花子「あー、なんかそれってニッチな需要があるらしいよ、雪景色の水着グラビアって」
恵「ええ……マジですかい…… 業が深すぎて来世に期待出来なくなるやつでしょソレ」
由暉子「肌が白い景色に映えるので見る分にはいいのかもしれませんね」
花子「じゃ自分が撮られるのは?」
由暉子「嫌です(ニコッ」
花子「道産子で名前がユキなのに雪は苦手かぁ」
恵「苦手とかそういう次元の話じゃないし、道産子を強化人間かなにかと勘違いしてませんかね……」
由暉子「もう疲れたよパトラッシュ……」
花子「うん、それあんまり洒落になってない」
由暉子「うふふふ」
恵「えっと、げ、元気だしなよ、これから部室で練習だし、私のこといっぱいトばしていいから!」
花子「そっちはそっちでトばされることを当然のように受け入れるなよ!?」