数絵「……お疲れ様ですぅー」 トビラガラー
真佑子「お疲れ様、数絵ちゃんどうかした? なんだか目に見えて疲れてるような」
数絵「そうなんですよ真佑子さぁん、もう大変でした……」
恭子「なんやいたずらでもしてたんちゃうん」
数絵「談話室の冷水器が一日何人に使用されてるのかをカウントするためにひたすら観察してました」
真佑子「予想以上に暇人ッ!?」
恭子「何人/ hやったん?」
真佑子「なんで末原先輩は興味深々なんですか!?」
恭子「あんなぁ、自分そういうことばっかりしてるから麻雀部全体が変人の巣窟扱いされんねんで」
真佑子(よかった、興味津々な訳じゃなかった)
数絵「皆さん横にある自販機で飲み物を買っていくので、あまりの不人気っぷりが気になってしまいまして」
恭子「うーん、まぁ普段使われてんのあんまり見ないっちゅうんは確かやけど」
真佑子「そういえば、私もああいう水飲み場は使ったことないですね」
恭子「……え、マジで? あそこの限定って訳やなくて?」
真佑子「はい、自分史上で使ったことないです」
恭子「そういえば多治比ってお嬢様やったわ、いい意味で忘れとった」
数絵「まさか、運動後のぬるーい水道水のうまさをご存じないなんて……」 ドヤアァァ
恭子「まぁ言いたいことは分からんでもないねんけど、なんで自分胸張ってドヤ顔してるん?」
数絵「明日、もう一度ここに来てください、本当の水道水を飲ませますよ」
恭子「それって明日じゃなくて今日じゃだめだったん?」
真佑子「ねぇ、何が数絵ちゃんをそこまで水道水擁護に駆り立ててるの……?」
数絵「まぁ色々理由はありますが、一番気に入ってるのは――――」
真佑子「なんです?」
数絵「値段だ」 ドヤアアァァァ
恭子「ドヤ顔で語った割に貧乏くさい理由」
恭子「というわけで、ほれ、飲んでみー」 ジャー
真佑子「う、は、はい……」
数絵「大丈夫、初めては多少勇気がいるかもしれませんが大丈夫、慣れれば病み付きになりますよ」
恭子「大丈夫って二回言うと胡散臭さ半端ないな」
真佑子「それでは……」 ゴクゴク
真佑子「…………あ、結構おいしいですね、もっと塩素が凄いのかと思ってました」
恭子「まぁ取水する場所にもよるやろうけどな」
数絵「東京の水道水は結構美味しいんですよ、『東京水』って言ってペットで売られてるくらいですし」
恭子「関東人の商魂、結構たくましいな……」
真佑子「ですがこれだったらミネラルウォーター買わなくてもいいですね、十分美味しいです」
数絵「そうでしょう? 思わずシェフを呼びたくなってしまうのでは?」
恭子「…………いや、上水道の事務所にでも行けばええんかそれ」