京太郎「あれ、浅見先輩、うっす」
花子「珍しいじゃん、学食で会うなんて」
京太郎「あー、まぁそうですね、俺あんまり学食来ないもんで」
花子「それそれ、いつも弁当食ってるじゃん、なんで今日は違うん?」
京太郎「それは――――」
明華「すみません京太郎、お待たせして……おや、花子さん」
花子「おっす」
京太郎「明華先輩に賭けで負けてご飯を奢ることになりまして……」
花子「えー、学食で? 奢り? そんなだからモテないんだよ京太郎」
京太郎「事情も聞かずにいきなり当たりが強くないですか!?」
明華「京太郎はモテないのではなくてモテようとしてないのだと先日自分で言っておりましたよ」
京太郎「なんでそういう余計なことを最適なタイミングでバラすんですか!?」
京太郎「折角奢ろうっていうのに酷いですよ明華先輩……」
明華「ふふ、申し訳ありません」
花子「いやーでも悪いね! 私までごちそうになっちゃって」
京太郎「浅見先輩にまで奢るとは一言も言ってないですけど」
花子「酷い! いくら明華が可愛いからって先輩差別は良くないぞ!」
京太郎「ふふはは! 奢らせたければ賭けで俺がベコベコになるまで勝ってから言ってもらおうか!」
明華「あまり胸を張って強気で言う内容ではないですよ京太郎!?」
花子「っていうか賭けって、何やったの? あまり麻雀部として人様に言えないようなことはちょっと」
京太郎「なっ……」
明華「そんな、花子さんが年長者の威厳のようなものを……?」
花子「年長者だし部の役職もちだし!? 君ら私に対してどんなイメージ持ってんだ……」
京太郎「いや、だって、ねぇ?」
明華「私は花子さんもやればできる子だと信じていましたよ」 ニコッ
花子「……いやそれ保護者目線だよね、完全にやんちゃ坊主扱いしてるよねそれ」
京太郎「はっはっは、なにを馬鹿な、レディをそんな扱いにするなど、紳士の振る舞いではありません」キラッ
花子「まぁ別にいいけど……で、賭けって、なにやったの」
明華「大したことはしていないですよ、どちらが早くレポートを書き上げるか勝負していたのです」
京太郎(スルーされた)
花子「え? 同じ授業で? でも二人学年違うくない?」
京太郎「暇つぶしに取ってた音楽の授業で一緒だったんですよ」
明華「毎年やっているカリキュラムが違うと聞いたので、単位にはなりませんが聴講していたんです」
花子「むしろ音楽とかいう授業があることを初めて知った…… なにソレ、大学でそんなんあんだ」
明華「音楽はいい…… なんとかの生み出したなんとかの極みですよ」
京太郎「先輩、なに一つ情報がない名言になってます先輩」
京太郎「それで、なに食べますか明華先輩」
明華「そうですね…… やはり安定の肉うどんでしょうか」
花子「カレーも結構美味しいよ」
京太郎「ここの食堂ってカレーに異常なこだわりありますよね、ライスもサフランだし」
明華「美味しいのは知っているんですが、量が尋常ではないので……」
京太郎「あー、確かにそうですね、それじゃ俺が注文しますから小皿にでも分けましょうか?」
明華「それはいいですね!」
花子「なんだそのイケメンムーブ、本当にガースーか?」
京太郎「俺は元々イケメンですよ」
花子「イケメンは違うなーあこがれちゃうなー」
京太郎「それほどでもない」
明華「まぁ、それほどでもないというのは確かにそうかもしれませんね」
京太郎「お約束から梯子を外されると困っちゃうんですけど!?」