「無駄遣いするんじゃないぞ」
「わかった」
(…………んんんんん???)
チーム虎姫の控え室。
置いてあったみかんを剥きながらまったりしていると、ちょっと飲み込むのに時間が必要なタイプの会話が聞こえてきた。正直に申し上げて困惑せざるを得ない。
混乱の極みにいる私を尻目に、先輩二人はさも当然の手続きを踏むかのように銀行の紙封筒を受け渡し始めた。
うわなんだアレ封筒めっちゃ厚いんですけど。あんな厚さの封筒初めて見た。
封筒、なるほど銀行の封筒か。
会話の流れから察するに、あの中には弘世先輩が宮永先輩に渡しているお小遣いが入っているわけだ。
つまるところ、弘世先輩は宮永先輩の金銭管理をしているわけで、すなわち私生活の相当深いところまで根を張っている(意味深)ということか。
ははーん、なるほどね?
「いやどういう関係性だよ!?」
「うわ、なんだ亦野、いきなり大声を出すんじゃない」
「どうしたの?」
「え、自分たちが常識側みたいな反応されてる……」
先輩二人は困惑しながら私を心配そうに見やる。ちくしょうなんで私が心配されてるんだ。世間一般の常識に照らし合わせてみても、この空間でどうした値が一番高いの先輩達でしょ。なんなんだアンタら。
「……なぜ先輩方はそんな金銭の授受が発生する交際を?」
「……待て、いや待て、お前は多大な誤解をしているな?」
「いや、どう見てもお小遣い(隠喩)の代わりに肉体的報酬を得ようとしている現場にしか」
「そんなわけあるか! なに考えてんだお前は!」
「……それは違うよ誠子」
うーん、弘世先輩はともかく、宮永先輩が否定するというなら、もしかしたら援助的なアレではない……のか?
いやそれはそれで疑惑が深まっただけではないのか。結局弘世先輩が宮永先輩にお小遣いを渡している理由が分からない。
『今月の小遣い』とか言ってた以上、日常的にお小遣いを渡している……?
でもいったい何のために? とうとう自分の頭までシャープシュートされてしまったのか……?(暴言)
「含みがあるような意味でなく、本当の意味でお小遣いを渡しているのは分かりましたけど…… そもそもの話、なんでそんなことに」
「なんでと言われてもなぁ……」
「話すと長くなるんだけれども」
「は、はぁ」
「こいつも最初はちゃんと親御さんからお小遣いをもらってたんだが。 もらったらもらっただけお菓子を」
「あ、もうだいたい分かりましたんで大丈夫です」
「えっ」
「えっ」
「それで弘世先輩が代わりにお金を管理するようになったとそういう話ですよね?」
「そ、そうだが」
「宮永先輩みかん食べます?」
「食べる」
なーんだいつも通りの宮永先輩じゃないか。心配して損した。
ん? いや待て、そうすると。
「じゃあ、あんなに厚い封筒で渡して、いったい月にいくら渡してるんですか?」
「……まだ誤解してるようだが、アレ全部お金ってわけじゃないぞ」
「え? お金じゃなかったら何が入ってるんですか」
「弘世家御用達のパティスリー優待券とか」
「えっなんですかそれめっちゃ羨ましいんですけど」
「あれ、誠子は行ったことないの? 部の子けっこう連れて行ってもらってるらしいけど」
「……弘世先輩」
「わかったわかった、連れて行ってやるから」
「先輩の後輩で良かった!! 先輩好き好き大好き超愛してます!!」
弘世家御用達パティスリ-。ああなんて甘美な響きなのだろう。
きっと私がいま想像しているスイーツを超える超スイーツ……を更に超えた超スイーツゴッドやブルーが跳梁跋扈する世界なのだろう。
そう、私は浮かれていた。
だから、気づかなかった。
気づくべきだったのだ。真後ろにいるお茶大好き同級生と、金髪コズミック後輩の存在に。
「ま、亦野先輩……」
「せ、誠子ちゃん……」
「どうしたんだ二人とも、今から弘世先輩に……」
「――――――亦野センパイが弘世センパイに熱烈な愛の告白してるううううぅぅぅう―――っ!!!??」
「なんでだよおおおおお!!??」
「せ、誠子ちゃん! いつから!?」
「何が!?」
結局、パティスリーには虎姫の5人みんなで行くことになった。
それはもう美味しかったし、談笑しながら楽しい時間を過ごすことが出来たのだけども、そんな中で大星と尭深の二人が終始、私と弘世先輩の様子をちらちら伺ってくる空間が出来上がってしまっていてホント勘弁してほしかった。
宮永先輩は特になにも気にせず終始幸せそうだった。なんか納得がいかない。
「わかった」
(…………んんんんん???)
チーム虎姫の控え室。
置いてあったみかんを剥きながらまったりしていると、ちょっと飲み込むのに時間が必要なタイプの会話が聞こえてきた。正直に申し上げて困惑せざるを得ない。
混乱の極みにいる私を尻目に、先輩二人はさも当然の手続きを踏むかのように銀行の紙封筒を受け渡し始めた。
うわなんだアレ封筒めっちゃ厚いんですけど。あんな厚さの封筒初めて見た。
封筒、なるほど銀行の封筒か。
会話の流れから察するに、あの中には弘世先輩が宮永先輩に渡しているお小遣いが入っているわけだ。
つまるところ、弘世先輩は宮永先輩の金銭管理をしているわけで、すなわち私生活の相当深いところまで根を張っている(意味深)ということか。
ははーん、なるほどね?
「いやどういう関係性だよ!?」
「うわ、なんだ亦野、いきなり大声を出すんじゃない」
「どうしたの?」
「え、自分たちが常識側みたいな反応されてる……」
先輩二人は困惑しながら私を心配そうに見やる。ちくしょうなんで私が心配されてるんだ。世間一般の常識に照らし合わせてみても、この空間でどうした値が一番高いの先輩達でしょ。なんなんだアンタら。
「……なぜ先輩方はそんな金銭の授受が発生する交際を?」
「……待て、いや待て、お前は多大な誤解をしているな?」
「いや、どう見てもお小遣い(隠喩)の代わりに肉体的報酬を得ようとしている現場にしか」
「そんなわけあるか! なに考えてんだお前は!」
「……それは違うよ誠子」
うーん、弘世先輩はともかく、宮永先輩が否定するというなら、もしかしたら援助的なアレではない……のか?
いやそれはそれで疑惑が深まっただけではないのか。結局弘世先輩が宮永先輩にお小遣いを渡している理由が分からない。
『今月の小遣い』とか言ってた以上、日常的にお小遣いを渡している……?
でもいったい何のために? とうとう自分の頭までシャープシュートされてしまったのか……?(暴言)
「含みがあるような意味でなく、本当の意味でお小遣いを渡しているのは分かりましたけど…… そもそもの話、なんでそんなことに」
「なんでと言われてもなぁ……」
「話すと長くなるんだけれども」
「は、はぁ」
「こいつも最初はちゃんと親御さんからお小遣いをもらってたんだが。 もらったらもらっただけお菓子を」
「あ、もうだいたい分かりましたんで大丈夫です」
「えっ」
「えっ」
「それで弘世先輩が代わりにお金を管理するようになったとそういう話ですよね?」
「そ、そうだが」
「宮永先輩みかん食べます?」
「食べる」
なーんだいつも通りの宮永先輩じゃないか。心配して損した。
ん? いや待て、そうすると。
「じゃあ、あんなに厚い封筒で渡して、いったい月にいくら渡してるんですか?」
「……まだ誤解してるようだが、アレ全部お金ってわけじゃないぞ」
「え? お金じゃなかったら何が入ってるんですか」
「弘世家御用達のパティスリー優待券とか」
「えっなんですかそれめっちゃ羨ましいんですけど」
「あれ、誠子は行ったことないの? 部の子けっこう連れて行ってもらってるらしいけど」
「……弘世先輩」
「わかったわかった、連れて行ってやるから」
「先輩の後輩で良かった!! 先輩好き好き大好き超愛してます!!」
弘世家御用達パティスリ-。ああなんて甘美な響きなのだろう。
きっと私がいま想像しているスイーツを超える超スイーツ……を更に超えた超スイーツゴッドやブルーが跳梁跋扈する世界なのだろう。
そう、私は浮かれていた。
だから、気づかなかった。
気づくべきだったのだ。真後ろにいるお茶大好き同級生と、金髪コズミック後輩の存在に。
「ま、亦野先輩……」
「せ、誠子ちゃん……」
「どうしたんだ二人とも、今から弘世先輩に……」
「――――――亦野センパイが弘世センパイに熱烈な愛の告白してるううううぅぅぅう―――っ!!!??」
「なんでだよおおおおお!!??」
「せ、誠子ちゃん! いつから!?」
「何が!?」
結局、パティスリーには虎姫の5人みんなで行くことになった。
それはもう美味しかったし、談笑しながら楽しい時間を過ごすことが出来たのだけども、そんな中で大星と尭深の二人が終始、私と弘世先輩の様子をちらちら伺ってくる空間が出来上がってしまっていてホント勘弁してほしかった。
宮永先輩は特になにも気にせず終始幸せそうだった。なんか納得がいかない。