胡桃「どうかした?」
まこ「いえ、ちいと気分が悪うて……」
星夏「え、大丈夫ですか」
まこ「なんじゃろ……眼鏡が歪んどるんかのう……」 クラクラ
胡桃「ああ、視界が変で眼が疲れちゃったのかな」
星夏「え、メガネって歪むもんなんですか? 染谷先輩のメガネって結構がっしりしてるように見えますけど」
まこ「眼鏡は精密機器じゃけぇ、少しの歪みで全然違うんじゃ……」
星夏「眼鏡の人は大変ですね……」
まこ「まぁコンタクトよりは楽とは思うがな」
星夏「うーん、目が悪くなったらどうしよう…… なんか今から心配になってきた」
胡桃「え? 文堂は目閉じてても見えてるみたいだから眼鏡必要ないよね?」
星夏「目が細いだけでちゃんと見てますけど!?」
まこ「フッ、されど心の目はひらいておる」
星夏「心の目も何もそもそも見えてますよ!?」
星夏「目が必要ないって言ったら百鬼先輩じゃないですか? あのひと目閉じてても麻雀出来そうだし」
胡桃「あー、まぁそうかもね、音で見えてるみたいだし」
星夏「いやぁ、人間止めてるなぁ」
まこ「いや流石に音だけで全部把握するんはいくらあいつでも無理じゃぞ」
胡桃「そうなの? 手牌全部透けてるもんだと想定して今までやってたよ!」
まこ「ここぞっちゅう時に使うてこそじゃ言うとりましたけん」
星夏「というかその前提なのに勝ててる鹿倉先輩もそれはそれで色々おかしいですけどね……」
胡桃「ふふーん! まぁ三年生が二年生にそうそう負けるわけにはいかないからね!」
星夏「少しは負けてくださいよ……」
まこ「ふっふっふ、二年も一年にゃそうそう負けてやれんからの」
星夏「じゃあ一年は誰に勝てばいいんですか! ぬいぐるみと卓を囲めばいいんですか!」
まこ「もう少し自分に自信を持て」
まこ「……っと、そろそろ限界、じゃな、わしゃそろそろ帰りますけぇ」 フラッ
胡桃「あ、ごめんね、調子が悪いのに話しちゃってて!」
まこ「いえ、眼鏡屋で直してもらえばすぐですけん、大丈夫です」
星夏「お大事に~」
まこ「おう、じゃあの……」 トビラガラー
胡桃「……眼鏡族も大変なんだねぇ」
星夏「普段からちょっとくらい労わってあげた方がいいのかもしれませんね」
胡桃「そうだね、普段から眼鏡かけてるから負担も凄いだろうし」
星夏「でも駄弁ってる時はともかく、対局中とか一番目を使う時はどう労わってあげたらいいんですかね?」
胡桃「うーん、麻雀の対局中でも違和感なく目を労わる方法……」
星夏「やっぱりあれですかね、アツシボ」
胡桃「ああ、それは色んな意味で麻雀らしいね……」
星夏「後ろに待機していたアツシボ係がおもむろに対局者の目にアツシボを押し当てる」
胡桃「テロじゃん」
星夏「眼精疲労がリフレッシュ!」
胡桃「そりゃ眼精疲労はリフレッシュするかもしれないけど」
星夏「他家の手牌もリフレッシュ!」
胡桃「すり替えてる!? 見えてない間にイカサマされてるけど!?」
星夏「点棒入れの中身もキレイさっぱりリフレッシュ!」
胡桃「そりゃリフレッシュするよね!? イカサマされてるしね!?」