怜「なんや」
泉「ヒマです」
怜「うだうだやっとるんなら忙しそうな先輩の作業手伝ってくれてもええんちゃう?」
泉「え、園城寺先輩忙しそうには見えないですけどなにやってるんですか」
怜「椅子の木目が迷路に見えるからそれやっとる」
泉「めちゃめちゃヒマやないですか!?」
怜「おかしい…… どうやってもゴールが四方を壁に囲まれた位置に……?」
泉「そらイスやし」
怜「うーん、部室に寄ったらまさか泉しかおらんとは……」
泉「他の先輩方は今日来られないんですかね」
怜「那岐ちゃんも宥姉やんも今日はこーへん言うとったで」
泉「そうですか、何か用事でもあったんかな」
怜「さぁ? それは知らんけど、まぁ部室でぐだぐだと駄弁るよりは優先したいことがあったんやろ」
泉「たいていの事柄は大体それより優先度高なると思いますけどね……」
怜「あれ、そういえばなんで泉部室開けられたん? 鍵持ってへんやろ一年は」
泉「ああ、さっき帰り際の船久保先輩から預かったんですわ」
怜「フナQ帰ったん?」
泉「ええ、なんや絹恵さんと買い物行く言うてましたよ」
怜「あの二人仲ええよなぁ」
泉「まぁ同い年のイトコですからね」
怜「ええねんええねん、そうやって新しい女と新しい恋を見つけていく、素敵なことやないですか」
泉「まるでかつて自分が古い女だったと言わんばかりの言い草」
怜「他の一年はどうしたん?」
泉「森垣と新子ですか? いや、分かんないすね、今日は同じ授業なかったんで……」
怜「…………泉ハブられとるんか、可愛そうになぁ……」
泉「いや違いますけど!?」
怜「強がり言わんでもええよ、先輩として弱音くらいやったら聴いたる」
泉「そんな慈しみを込めた瞳で見つめられてもそんな事実ないですよ!?」
怜「本当に?」
泉「え…… いや、二人とは仲ええですし……」
怜「二人と居る時も無意識に疎外感を感じたり…… 自分の知らん話題で盛り上がっている二人を見たり……」
泉「…………えっと……」
prrr prrr
憧「はいもしもし、泉どうかした?」
泉『あ、もしもし新子!? うちら友達やんな!?』
憧「……………………は?」
泉『まさか私の事ハブったりなんかしてへんやろ、な! な!?』
憧「何があったかは分からんが分かったから落ち着け」