慕「うん、だから今年はどんな風に祝ってあげようかなって」
閑無「いつもはどうしてるんだよ」
慕「料理作ってあげて、おめでとーってパーティしてるけど」
杏果「……十分なんじゃない?」
慕「でも、料理とかはいつもやってるし…… 特別な感じが無い気がして……」
玲奈「じゃあ何かサプライズ要素入れれば」
陽葵「サプライズってなにするの? 寝てるところにドッキリでも仕掛ける?」
杏果「インパクト重視過ぎるからねそれ」
閑無「じゃどうする、手紙でも書くか」
慕「手紙?」
玲奈「このあいだ似たような話したでしょ、未来の自分に~っていうの」
杏果「いいんじゃない? たまにしかない機会なんだし、感謝の気持ちを言葉にしてみるのも」
慕「う、うーん、でも普段からおじさんにはありがとうって言ってるし、なに書けばいいかなぁ」
杏果(そういえば天使だった)
閑無「普段言いづらいことを書けばいいだろ、脱いだ靴下をちゃんと洗濯機に入れてください、とかさ」
陽葵「誕生日にそれ言うの……?」
玲奈「その前に、あんたはあのおじさんを一体なんだと思ってるの……」
慕「靴下はちゃんと片付けてくれてるよ!」
杏果「慕、つっ込みどころそこじゃないから」
玲奈「でも、誕生日パーティの料理とかすごい気合入れてるんじゃないの」
慕「う、うん、ちゃんと仕込みはしてきたんだけど」
陽葵「なに作るの?」
慕「えっと、あまりひねりは無いんだけど、ミートパイと、ピザと、ケーキを」
閑無「パーティに遊びに行っていいか?」
杏果「あんたはあのおじさんの一体なんなのよ」
玲奈「ひゃー、流石だなぁ、私には作るの無理だよ」
慕「今度教えてあげるよ!」
玲奈「わ、私はちょっと…… 地球が100回まわった後とかでならいいよ!」
陽葵「三ヶ月ちょっとくらいしかないんじゃないそれ?」
杏果「それじゃ慕ってケーキとかも作るんだ、凄い」
慕「はやりちゃんに色々教わりながらだけどね」
杏果「ああ、家がケーキ屋なんだっけ?」
閑無「許せないよな……! 商品があんなに美味しそうだなんて……!」
玲奈(恨みの持って行き方が雑)
陽葵「手作りケーキって結構作るのに時間かかったりするんじゃない?」
慕「スポンジはもう焼いて作り置きしてあるから、あとはデコレーションするだけだよ」
閑無「へー、作り置きできるんだなぁアレって」
杏果「やっぱり定番のいちごとクリーム?」
慕「うん、クリームを泡立てるのが難関なんだけどね」
陽葵「泡立てるのって結構重労働らしいからねぇ」
閑無「大丈夫だ! 麻雀の打牌で腕を鍛えたお前ならきっと泡立てもやりとげられる!」
慕「うん、が、頑張る、よ……?」
玲奈「腕(筋力)」
杏果「腕の筋肉が鍛えられるほどの動きじゃないでしょ」
閑無「ま、どうしても泡立てが無理なんだったらおっさんに手伝ってもらえばいいだろ」
慕「え、ええ、それはダメだよ、おじさんのパーティなのに」
閑無「バッカお前、一緒に作ればいいだろ、そんなことであのおっさんは怒ったりしないって」
杏果「そうね、折角なんだから一緒に作って一緒にパーティを楽しめばいいのよ」
陽葵「祝ってあげたい気持ちは十分伝わるから大丈夫だよ、たぶん」
玲奈「むしろ頼ってもらった方が喜ぶまであるでしょ」
慕「う、うん、分かった…… でも……」
閑無「でも?」
慕「折角だからおじさんが嫌いなトマトを隠して料理に入れたかったんだけど、手伝われたらバレちゃうかなぁ」
閑無「おっさんトマト嫌いなのか……」
玲奈「それがサプライズでいいんじゃない?」
慕「それだ!!!!」
杏果「それなの!!!???」
慕「おじさんにトマトを食べさせるために、私、頑張って泡立てするよ!!!」
杏果「……ま、まぁ慕がいいならそれでもいいけどさ……」
慕「―――というわけで、この料理のどれかにトマトが入ってます! 頑張って食べてね!」
耕介「なんで誕生日なのにロシアンルーレットしてんの!? ていうか選択肢にケーキも入ってんの!?」